『完全なる首長竜の日』乾緑郎

植物状態になった患者とコミュニケートできる医療器具「SCインターフェース」が開発された。少女漫画家の淳美は、自殺未遂により意識不明の弟の浩市と対話を続ける。「なぜ自殺を図ったのか」という淳美の問いに、浩市は答えることなく月日は過ぎていた。弟の記憶を探るうち、淳美の周囲で不可思議な出来事が起こり――。

第9回「このミステリーがすごい!」大賞受賞の作品。初めの方は「ミステリー?」と思いながら読んでいきましたが、だんだん「あれ?」と思う部分が出てきて、思いがけないオチが待っておりました。ラストは確かになんだか落ち着いた気分になります。主人公が強くなった気がして、読んでいるこちらも心地よいのでした。