『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎

先日、伊坂幸太郎は第2章に入った、とか何とかで、初期の作品が好きだった私はがっかりしておりましたが、最新作です。どうなっていることやら、と不安の中、読み進めました。
主人公の星野一彦は、「あるバス」に乗せられて、売られていく子牛さながら絶望的などこかへ行く運命にあるのですが、この主人公、なんと5股をかけていて、「あるバス」に乗せられる前に、監視役の巨大な女性とともに、その5人の女性に別れを告げるというお話。
相変わらず、登場人物は魅力的な人たちばかり。ディテールが細かくて、本当にいるんじゃないか…と想像してしまうくらいです。監視役の女性も、味がありすぎる。
伊坂幸太郎的な伏線の回収劇は、さほど仕組まれていないのですが(むしろ作品の続きを読者にゆだねるパターンです。ある意味やりきれないパターン)、読み終わった後に号泣。読みながら号泣した事はあるけど、読み終って号泣した事って初めてではないでしょうか。なんだか、すごく、心がじんわりしてしまいました。決してハッピーエンドではないのですが(たぶん)、胸がジワ―としてしまいました。
読んで良かった…としみじみ感じた一冊でした。

バイバイ、ブラックバード

バイバイ、ブラックバード