『Story Seller』

作家さんたちによる短編オムニバスで、恥ずかしながら伊坂さん以外の作家さんはあまり存じ上げないのですが、すべての作品がよかったです。ググッと惹きこまれちゃった。

という7編で構成されておりまして、伊坂さんの「首折り男…」は、あぁ…伊坂ワールドね…といった感じで、文章を読み進めていく中で少しずつ頂く情報に頭がこんがらがっていくのですが、最後はきれいにほどかれて、しかも今回は何だかすごく前向きな将来が期待できる形で完結していてさすがだなぁ…と思いました。
どの作品も面白く、「プロントン…」は私の知らない自転車レースの勝負が描かれていて、なんだかとても興味深かったです。「ストーリー・セラー」は途中読んでるこちらが恥ずかしくなるほどの恋愛も盛り込まれていましたが、なんだか切なくて悲しいお話でした。「玉野五十鈴…」は最初から最後までちょっと怖い雰囲気が漂っていて、決して怖いことが書いてない場面でも気が抜けなかったです。「333の…」はなんだか中だるみして読んでしまいました。えへへ。「光の箱」はサラリと読ませていただきました。「ここじゃない場所」は、なんだろう…。もっともっと盛り上がるかと思いきや、えぇぇぇ、みたいな。主人公の若さゆえの感性が逆にわずらわしくも感じましたが、ラストの語りでなんだかすべて許せる気がしました。そうよね、そういうことよね、みたいな。
感想は貧相な表現になってしまいましたが、どれも本当に面白かったのです。いやぁ、本当に面白いお話を売ってもらいました。

Story Seller (新潮文庫)

Story Seller (新潮文庫)