『グロテスク』 桐野夏生

東電OL殺人事件についての記憶がまるでない私…。何をしていたのかと思ったら、人生初めての一人暮らしをスタートさせた時期でした。なるほど、世の中に疎い時期だわ。

というわけで、そんな実際の事件をモチーフにした作品です。桐野夏生さんは、初ですね。テレビドラマで『OUT』は観ていたし、やたらと綺麗な装丁で本屋には並んでいるし、そもそも男なのか女なのかわからないというイメージで気にはしていました。その桐野さんです。女性でした。

圧倒的な美貌を持つ妹を意識しながら人生を歩んだ主人公の悪意に満ちた語り口で物語は語られ、人間の内面のグロさが描かれていますか、いますね。登場人物がそれぞれに得ようとしてもがき少しずつ狂っていく様が生々しいのです。
この本を貸してくれた人は男性だからかすごく読んでいて気分が悪くなったということでしたが、それを聞いて覚悟した上で読んだからか、それほど酷いとは思えず、むしろ自分もちょっと踏み外せば容易にこんな世界に入り込むであろうなぁ…という感想でした。私は。

グロテスク 上 (文春文庫)

グロテスク 上 (文春文庫)

グロテスク 下 (文春文庫)

グロテスク 下 (文春文庫)